ドラマ・クロカイブ

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隠れモチーフは向田邦子?『あのときキスしておけば』

テレビ朝日金曜ナイトドラマ『あのときキスしておけば』。覆面少年マンガ家のヒロイン、唯月巴(麻生久美子)。そのコミック作「SEIKAの空」の雰囲気から見て、『鬼滅の刃』の女性作者・吾峠呼世晴をイメージしているんだろう、と思っていました。ペンネームが「蟹釜ジョー」なのも吾峠呼世晴が通称「ワニ先生」なのに対応しているのかな。

 

 

しかし、飛行機事故でおっさん(井浦新)になってしまったヒロインが、第三話でようやく母親(岸本加世子)に娘だとわかってもらって抱き合った場面を見ていて気がつきました。
「そうか、飛行機事故といえば向田邦子じゃないか」と。向田邦子没後40周年が隠れモチーフだったんだ。
なぜ岸本加世子で気がついたかというと、代表作『あうん』の娘役だったから。

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他に向田邦子なところを探すと「SEIKAの空」のキャラクター。主人公・浪流キャベ次郎、鬼龍院ピーメン、紅リコピン、不知火コン乃介、豆田モヤオといった野菜に選ばれた戦士たち、他にキャベツの神、ナスッテ、魔王ヤオーヤなど。向田邦子テレビ朝日(当時NET)における代表作は竹脇無我森繁久彌だいこんの花』、森光子『じゃがいも』など「野菜シリーズ」と呼ばれていました。

もう一つ、向田邦子を思い出した現在放送中のドラマはテレビ東京系『生きるとか死ぬとか父親とか』第4話。エッセイストのトキコ(吉田羊)の原稿が銀座のタウン誌「銀座百点」に掲載。父(國村隼)と連れ立って銀座にいって、置いている店を探すけどさっぱり見つからない、昔の銀座と変わってしまったというエピソード。

「銀座百点」といえば向田邦子『父の詫び状』が連載されていました。

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原作のジェーン・スーが実際に依頼されたことが元になったエピソードなのでたまたまかもしれないけど、父娘関係が軸という内容も向田邦子ぽい。

ところで『あの時キスしておけば』が23時台の放送で、『生きるとか死ぬとか父親とか』が0時台の放送。この前の22時台はNHK『半径5メートル』とTBS『リコカツ』。『生きるとか』に続いてテレビ東京で放送されるのが『ソロ活女子のすすめ』。これみんな登場人物に編集者がいるドラマ。今クールのドラマはやたらと編集者が多い、というのはすでに編集のプロのデイリー新潮が書いているので、こちらを参照してください。

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