ドラマ・クロカイブ

AllAboutドラマガイドが書ききれなかったことをつづります。

太平洋戦争中に始まりながら暗くならなかった『本日も晴天なり』

BSプレミアム/BS4K 8時15分〜30分、過去の朝ドラ再放送枠で『本日も晴天なり』が終わりました。朝ドラの中では地味目な作品なのになぜ今、再放送するんだろう、渡辺裕之に先立たれた原日出子を励ます会なのか?と始まる前は疑問でした。
しかし見ているうちにわかった。戦時下にNHKに女子アナとして採用されたヒロイン、戦後早々に退職したものの、同期は残っていることなどにより戦後の放送史も描いて、NHK的に重要で「テレビ70年」にあわせて投入してきたんだと。

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放送史的に重要、はNHK視点ですが、視聴者側から見ての『本日も晴天なり』。朝ドラの中で特筆すべきなのは「太平洋戦争の真っ只中から始まりながら暗くならなかった」ということ。
どうしても苦難の時代になる太平洋戦争。扱う朝ドラの多くは、最初は戦前で勢いをつけてから突入し、そうでなければ1945年の終戦間際からスタートします。
1975年の半年放送になって以降に制作された作品で、終戦の年以外の太平洋戦争中(1941〜1944年)に始まったのは『本日も晴天なり』(1944年スタート)以外は『春よ、来い』(1943年スタート)のみ。いろいろと問題の多かった『春よ、来い』ですが、戦時中スタートというのも盛り上がらなかった要因だと思います。

なぜ『本日も晴天なり』が暗くならなかったのか。タイトルが「晴天」だから、というのはベタ回答。やはり小山内美江子の筆力でしょうか。同じく脚本を担当した『マー姉ちゃん』も、太平洋戦争を最も明るく乗り越えた朝ドラだと思います。熊谷真実・田中裕子・藤田弓子の超強力母娘トリオの活躍ということはもちろんですが、2つ続くとスタッフの力量も認めないと。

小山内美江子、『マー姉ちゃん』以前はそこまで脚本家として目立った存在ではありませんでした。しかし『マー姉ちゃん』(1979年4月~9月)が終わるとすぐに『金八先生』第1シリーズ(1979年10月~1980年3月)で連続ヒット。ここから『金八先生』第2シリーズ(1980年10月~3月)。半年おいて『本日も晴天なり』(1981年10月~1982年4月)、そして1983年は大河ドラマ徳川家康』。この合間には長男の利重剛がメインの『父母の誤算』『親と子の誤算』など書きまくっています。

 

さて、ここで問題です。『本日も晴天なり』とほぼ並行して放送された名作ドラマは何でしょう?
10行改行します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

答えは『北の国から』最初のTVシリーズ。『本日も晴天なり』は1981年10月5日〜1982年4月3日、『北の国から』は1981年10月9日〜1982年3月26日。

 

北の国から』は倉本聰の現代文明批判がテーマにありますが、『本日も晴天なり』もヒロインの夫(鹿賀丈史)が人間工学を応用した家具づくりを仕事にしたり、普通なら最終週に出版記念パーティーを開いて終わるのに(『花子とアン』とか、出版記念じゃないけど『ゲゲゲの女房』とか)第1次オイルショックにより延期になったところに共通したものを感じます。
そしてこの流れは1年後の『おしん』大ヒットにもつながるような。