ドラマ・クロカイブ

AllAboutドラマガイドが書ききれなかったことをつづります。

朝ドラ2001〜2005:パターンを自覚してそれを極める

21世紀に入っての第一作は『ちゅらさん』。大人気で続編が三作もつくられましたが後の作品へ与えた影響も大きい。

 

まずは家族観。離婚の『ふたりっ子』、シングルマザーの『わたしの青空』、アラフィフに至る最終回まで独身の『オードリー』と新しい家族の形を追い求めた20世紀末。それに対して『ちゅらさん』は、沖縄の実家はおばあ(平良とみ)のいる大家族、上京しても擬似大家族の一風館。「やっぱり家族っていいよね」となり、この後、生涯独身は『とと姉ちゃん』、離婚は『半分、青い』ぐらいで、ほとんどありません。

 

朝ドラのヒロインのパターンについて自覚的になったのも『ちゅらさん』から。明るく前向きが基本の朝ドラヒロインですが、「運命」だと結婚に突き進むなど、古波蔵恵利(国仲涼子)は脳天気レベル。それに対して「そんな奴おらへんやろ」的ツッコミをいれる城ノ内真理亜(菅野美穂)は、twitterでつぶやく視聴者を先取り。

パターンに自覚的になったことでこの後、木に登りがちな朝ドラヒロインの中でも「山猿」といわれるほど木登り得意な『ほんまもん』、ハワイの日系三世アメリカ人『さくら』、夢が女性宇宙飛行士と朝ドラ史上最も壮大な『まんてん』と極端なタイプが次々に登場します。

 

さらに初めて沖縄が舞台となったことで、いままで取り上げてこなかった県が舞台になることが増加。『さくら』は初の岐阜県(とハワイ)、『まんてん』の鹿児島県は『おはなはん』と『マー姉ちゃん』でヒロインの夫の出身地として登場したことはあるけど、ヒロインの出身地としては初、『ファイト』が初群馬、『風のハルカ』が初大分。このあたりのことは以前まとめました。

 

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ちゅらさん』からの好調は『さくら』まで続きますが、その後息切れ。ほとんどが現代もので、大きな苦難というと『わかば』で父親が阪神大震災で死んだことぐらい。ヒロインの自分探しパターンが増えていったのがいけなかったか。。

またひとりで生きていくヒロインがいなくなり、現代の女性の問題も描けなくなっていきます。

 

異色なのは、戦後スタートで時代が古い『てるてる家族』。石原さとみ演じるヒロインだけじゃなく、母親(浅野ゆう子)と三人の姉(紺野まひる上原多香子上野樹里)まで含めた5人ヒロインという感じのストーリーにミュージカル仕立ての構成。おもしろかったけど、朝ドラとしては異色すぎたのか視聴率的には盛り上がりませんでした。

 

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