ドラマ・クロカイブ

AllAboutドラマガイドが書ききれなかったことをつづります。

語りが牡蠣の『おかえりモネ』前例は鉢植え、愛犬からラジオ、ぬか床まで

気仙沼登米から東京へ舞台を移した『おかえりモネ』。これで忘れ去られんじゃないかと心配なのが、語りが牡蠣に転生した死んだ祖母(竹下景子)であるという設定。第一話で明かされたときは衝撃でしたが、その後はたまに牡蠣であると言ってますが、それほど強調されてはいません。

この設定、語りが「ファンタジー設定」と「死んだ肉親」という2つの要素があります。

朝ドラで「語りがファンタジー設定」の最初の例はたぶん1976年の『火の国に』の「肥後椿の鉢植え」(渡辺美佐子)。熊本が舞台でヒロインの職業は造園師ということによるものです。
このパターンはしばらく使われませんでしたが『ひまわり』で20年ぶりに復活し、愛犬(萩本欽一)でした。その後『まんてん屋久杉(藤村俊二)、『風のハルカ由布岳(中村メイコ)、『まれ』魔女姫人形(戸田恵子)など。

一番変わっていたのは『つばさ』ラジオ(イッセー尾形)でしょうか。ラジオだけならまだしも、しばしばヒロイン・つばさ(多部未華子)にしか見えない男の姿になり、相談相手になります。

なぜラジオかというと『つばさ』がNHKFM40周年記念作品だから。ヒロインもコミュニティFMのリポーターになります。


「語りが死んだ肉親」はたぶん1999年の『あすか』が最初。祖母(有馬稲子)の語りで、最初は出演して早い段階で死んでいます。肉親では祖母が一番多く、『ゲゲゲの女房』(野際陽子)、『半分、青い』(風吹ジュン)など。祖父は『さくら』(大滝秀治)、母親『純情きらり竹下景子(だから今回は語り2度目)、『べっぴんさん』(菅野美穂)、父親『なつぞら』(内村光良)などあります。

そして「ファンタジー設定」と「死んだ肉親」の2つを合体させたのが『ごちそうさん』。祖母(吉行和子)で死後は魂がぬか床に宿るというもの。め以子(杏)もぬか床を大事にしていたし、太平洋戦争末期にぬか床を生き延びさせるのも劇中で描かれていました。
『おかえりモネ』は『ごちそうさん』に続いての合体パターンですが、現時点では牡蠣であることの意味がみえません。終盤に百音(清原果耶)が異常気象による海水温度の変化を予期して牡蠣のピンチを救うという展開になるんでしょうか。
妹・未知(蒔田彩珠)も水産試験場で海水温度変化に強い牡蠣の品種を開発する部署に配属されたし、ますますそう思えます。


語りは朝ドラ影の重要キャストという面があり、様々なチャレンジをされます。近年、変わった設定で傑作だと思うのは『ひよっこ』と『おちょやん』。

ひよっこ』は顔出しもする増田明美に本人が実際にいいそうなことを語らせています。『おちょやん』はこちらもあるときは顔出し、またある時はアニメの犬にもなる黒衣(桂吉弥)が語りだけじゃなく、ツッコミも入れています。

語りが前面に出たほうが、週末のまとめ放送や総集編がわかりやすくおもしろくなるので、変わった設定、今後も増えてくるんじゃないでしょうか。