ドラマ・クロカイブ

AllAboutドラマガイドが書ききれなかったことをつづります。

考察系『マイファミリー』の先祖は「赤いシリーズ」

近年の連ドラでヒットしているジャンルの一つに「考察系」があります。ミステリードラマで「犯人は誰か」を中心に謎を引っ張り、視聴者がSNSでさまざまに考察するので考察系。
2022年4月期の連ドラで最大のヒットとなった『マイファミリー』も考察系。誘拐事件だけで3ヶ月引っ張れるのか?と思いきや、誘拐が連続して発生するという意外性が新鮮でした。

 

「考察系」を始めたといわれるのは2019年の『あなたの番です』。しかし昔からこんなドラマはあったよなーと思っていました。SNSじゃなくて、お茶の間(死語)や翌日の学校や会社で盛り上がるような。
具体的な作品に思い至ったのは『テセウスの船』を見た時。制作会社が大映テレビだということから「そうか『赤い激流』だ」。

赤い激流』は「赤いシリーズ」の第5作で1977年の制作。

音大ピアノ科助教授の大沢武(宇津井健)は再婚相手の長男・田代敏夫(水谷豊)の才能を見抜き、ピアニストとして育てることに。この時の水谷豊、『熱中時代』の直前でまだ『傷だらけの天使』的不良キャラのため、音大では嫌われます。
そうこうしているうちに敏夫の死んだと思われていた実の父(緒形拳)があらわれて、音大周辺でゆすりたかりなど繰り返したあげく、殺されてしまう。その殺人容疑をかけられた敏夫は逃亡しならがらアリバイを証明するため謎の「Rの女」を探す。
そして逃亡しているのにピアノコンクールにも出て捕まり、死刑判決。それでも脱獄して……という、よくいえば波乱万丈、悪くいうと無茶な展開がいかにも「赤いシリーズ」で盛り上がりました。

赤いシリーズ」といえば白血病の第2作『赤い疑惑』、子ども取り違えの第3作『赤い運命』、陸上選手が銃撃で半身不随の第4作『赤い衝撃』と山口百恵メインの作品が有名ですが、シリーズ最高視聴率だったのはこの『赤い激流』です。

赤いシリーズ」の赤は番組スポンサー・サントリーの赤ワインからだそうですが、タイトルに引っ張られたのか、それとも山口百恵のキャラにシンクロしたのか、テーマとして親子関係を中心にした血脈が背景にあることがほとんどでした。『テセウスの船』に、これも大映テレビ制作の『マイファミリー』にも受け継がれています。

大映テレビは近年はゴールデン・プライムタイムの連ドラを制作することが少なくなり、『赤い霊柩車』など2時間ドラマ中心でしたが、ここにきて復活してきましたね。

ところで大映テレビのドラマといえば山口百恵片平なぎさ堀ちえみ、伊藤かずえなどホリプロ女優が出てくるのが定番。『テセウスの船』では女優じゃなく主演の竹内涼真ホリプロ。しかし『マイファミリー』でホリプロというと日下部管理官役の迫田孝也。ちょっとシブすぎるな。