ドラマ・クロカイブ

AllAboutドラマガイドが書ききれなかったことをつづります。

朝ドラの父はガンコからダメ父、そして毒親

近年の朝ドラは世帯視聴率が20%が当たり前で、20%切ると逆にニュースになる、というレベルでした。しかし現在放送中の『おちょやん』は20%超えたことがまだなく、それがニュースにもならないことが逆の逆でニュースになっています。

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終盤になってようやく盛り上がってきたので、終わりよければ、となればいいのですが。

視聴率がこれまでに比べて低い原因の一つとして冒頭から登場した父親のテルヲ(トータス松本)があまりにもクズすぎて視聴者が離れた、ということはあるでしょう。

近年のNHK東京がつくる朝ドラは主人公の周囲はほとんどいい人のほんわかした世界なのに対して、NHK大阪制作では『カーネーション』を代表としてシビアな現実も描きがちです。
一年前の『スカーレット』の父・川原常治(北村一輝)も娘を大阪に奉公に出し、また呼び戻すなど主人公を振り回すこともありました。ただ、飲んだくれのテルヲと違って仕事はしていました(山っ気があり、よく失敗しますが)。それに北村一輝の演技によるものかそれとも地によるものか、可愛げもありました。

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それではこれまでの朝ドラの父親はどうだったのか振り返ってみましょう。

昭和の定番は頑固オヤジ。近年BSプレミアムで再放送された昭和60年代の『澪つくし』(津川雅彦)『はね駒』(小林稔侍)は二つともそうでした。
代表作を一つ上げると『雲のじゅうたん』(中条静夫)。旧士族の誇りをもった、絵に書いたような頑固オヤジでした。

それが変わってきたのは平成元年の『青春家族』(橋爪功)。序盤で東京の製薬会社勤務から異動で土肥の温泉ホテル総支配人に都落ち。ついてきてくれるかと思った妻(いしだあゆみ)は勤務先のデパートで出世して東京居残りのため単身赴任。娘(清水美砂)は結婚式をドタキャン。悩みの多い父親でした。

そして現代ものの流れを決定づけた1996年の二作、『ひまわり』の父(寺泉憲)は20年前から失踪。『ふたりっ子』の父(段田安則)は中盤、蒸発して演歌歌手・オーロラ輝子(河合美智子)の付き人に。ダメ父路線を決定づけます。

 

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ダメ父にもいくつかタイプがあって、家出は他に『こころ』(寺尾聰)。逆に妻に出ていかれるのが『風のハルカ』(渡辺いっけい)、『つばさ』(中村梅雀)。事業失敗が『やんちゃくれ』(柄本明)、『ファイト』(緒形直人)。グータラなのが『ちゅらさん』(堺正章)、『ウェルかめ』(石黒賢)。

2010年度から本放送開始時間が15分繰り上がり、内容も一代記ものが復活。しかし父親像は昔の頑固オヤジそのままというわけにはいかない。最初の『ゲゲゲの女房』の父親、飯田源兵衛(大杉漣)が代表的で、頑固が基本ですが、現代風にやさしく見守る面もあわせもっています。
現代ものでは『あまちゃん』(尾美としのり)、『まれ』(大泉洋)がダメ父路線を継続。

 

そして毒親の先駆がでてきます。『純と愛』の狩野善行(武田鉄矢)。『純と愛』は(夏菜)と愛(風間俊介)以外の主要登場人物はほとんど性格的に問題がありすぎますが、その中でも最凶。義父から受け継いだリゾートホテルを周囲とうまくやっていけない性格から破綻させ売却。強いものには平伏するが家族には傲慢で自分の意見を押し付ける(そのためにことわざや四文字熟語を駆使するのが武田鉄矢らしさか)。

武田鉄矢がこんな役をする源流は『白夜行』の事件を追う刑事役から。その後、NHK土曜ドラマリミット-刑事の現場2-』でも同じような刑事役で、この脚本を書いたのが遊川和彦で『純と愛』につながります。


こんなひどい父親が出てくるのは「毒親」という言葉が一般化、NHKも「もしかして...虐待を考えるキャンペーン」を展開するなど、現実の反映でしょう。
しかし、これまでの朝ドラの父親像と違いすぎ、受け入れられてません。しかし一作ヒットが出れば、朝ドラの流れが変わる可能性もあります。今後ともウォッチしていきたいと思います。