ドラマ・クロカイブ

AllAboutドラマガイドが書ききれなかったことをつづります。

災禍をドラマで描くには2〜3年は必要

緊急事態宣言から半年たって始まった2020年の秋ドラマ。コロナ禍をどれだけドラマの中で描いてくるかに注目していました。

もろに描いているのが『#リモラブ〜普通の恋は邪道〜』。波瑠演じるヒロインは会社の産業医。コロナ禍に対応するため奮闘している中、SNSから始まる恋を描くラブコメ。登場人物がマスクをしている時間が長く、ソーシャルディスタンスはネタにしています。
『姉ちゃんの恋人』は職場がホームセンターで、回想でマスク争奪騒動を描き、コロナ禍が起きた後であることを暗示してます。
『共演NG』は連ドラ内連ドラ『殺したいほど愛してる』の収録でソーシャルディスタンスや濃厚接触を気にしています。
『ルパンの娘』はコロナではないけど、「自粛」「リモートワーク」などをネタにしているところがありました。

しかしほとんどのドラマはコロナ禍と関係ないところで展開されています。ガッツリ描いた『#リモラブ』は個人的にはおもしろいと思うのですが、視聴率的には冴えません。
こういった多くの人に心の傷を与えた大きな災禍は、すぐには受け入れられないということでしょう。

 

大きな災禍ということで、近年の2つの大震災からそれがドラマとして受け入れられるまで何年かかったかを見ていきます。
1995年の阪神淡路大震災の影響でNHK大阪制作の『この指とまれ!!』はスタートが一週間延期し、主演の藤山直美のお見舞いの言葉とともに始まりました。1997年11月スタートの続編『この指とまれ2』では直接ではないものの背景として震災がありました。
並行して1997年10月スタートの朝ドラ『甘辛しゃん』は神戸・灘の酒蔵が舞台。終盤に震災が直接描かれます。
同時期の1998年1〜3月放送のフジテレビ『きらきらひかる』は深津絵里主演。行方不明の妹(篠原涼子)が終盤、神戸で震災のため死んでいたということが明らかになりました。

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東日本大震災では2013年1〜3月放送の『最高の離婚』。震災時、帰宅困難な状況で一緒に歩いて帰ったことをキッカケに結婚した夫婦(瑛太尾野真千子)が離婚する姿が描かれます。
そして2013年4月からは『あまちゃん』。

ということで大震災を描くには2〜3年ぐらいの時間が必要でした。短時間で被害が大きい震災と期間が長いコロナ禍の違いはありますが、ある程度の時間が必要なのは同じでしょう。

 

gendai.ismedia.jp

によると「TBSのドラマ制作陣には『新型コロナは盛り込まなくても良い』というお達しが出ている」そうで、結果を見るに正解だったようです。

 

とはいうものの、連ドラは「今」を描くことも重要なはずで、もっとチャレンジしてほしい気持ちもあります。
例えば『きらきらひかる』と同じフジテレビ制作の監察医ドラマ『監察医朝顔2』。東日本大震災被災者家族に寄り添うのがテーマなだけに、新たな災厄も取り入れるべきだったような気がします。ただ、第1シーズンは大震災の8年後から始まり、ほぼリアルタイム。そこから結婚して子どもがうまれて5年経っているので、すでに未来になっているんだから描くのは難しいんですが。

それから『恋する母たち』。2019年が舞台で、12月4日放送の第7話時点で11月ごろ。最終回で緊急事態宣言によりあえなくなることが結末に影響してくる可能性はあると思います。最終回なら視聴率もあまり関係ありませんし。