ドラマ・クロカイブ

AllAboutドラマガイドが書ききれなかったことをつづります。

朝ドラの歴史:まとめ

「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」という本があります。著者は朝ドラの戦略を聞くべくNHKを取材するが、朝ドラ専門の部署がないことにビックリします(この間まではドラマ番組部はあったけど、2019年6月の組織改編でそれもなくなった)。

 

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長期戦略を考えているわけではないけど、個別の作品担当者が考えてつくっていくと、社会の動きや過去のヒット作に影響されながら、大きな流れができているのがおもしろいところ。
そんな流れを一通り見てきたところで、全体をまとめてみます。

 

最初期は家族をテーマにした作品が3作。4作目『うず潮』(1964)が新人女優主演、女の一代記パターンのプロトタイプ。それを踏襲した『おはなはん』(1966)が大ヒットするも、それで一代記パターンが定着するかというとそうでもない。続く『旅路』(1967)は夫婦ものでこちらも大ヒット、まだまだ模索が続きます。

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『あしたこそ』(1968)からカラー化。連続テレビ小説歴代視聴率ランキングは1位はもちろん『おしん』として2位『繭子ひとり』(1971)、3位『愛より青く』(1972)、4位『鳩子の海』(1974)、5位『北の家族』(1973)とこの時期の作品が並ぶ一つのピークです。

 

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ヒット続きの裏では制作がたいへんになったため半年放送スタイルに。
雲のじゅうたん』(1976上)は、夢が大正時代では壮大だった女性飛行士。一代記パターンに職業路線が加わり、またヒロイン真琴(浅茅陽子)は猪突猛進の超前向き性格。
一代記・職業もの・ヒロイン前向きの三要素がこの時期量産され、朝ドラの基本イメージが確立します。

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朝ドラだけでなく全連続ドラマ中最高視聴率の『おしん』(1983)。いわゆる「戦後」とバブル期へ向かう時代の変わり目だった1983年という時代が生んだのでしょうか。

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頂点を極めてしまったので変わらなくてはいけない。男性主人公など試すけど決定的なものは出てきません。

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時はバブル期、民放の連ドラはトレンディドラマに。時代の動きを反映して出てきたのが現代ものの『青春家族』(1989)。しかし反動的な流れもありなかなか変われず、視聴率も大きく低下してしまいました。

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1996年『ひまわり』『ふたりっ子』の連続ヒットでようやく現代路線が定着。さらに『ふたりっ子』は離婚、2000年の『私の青空』シングルマザーと『オードリー』はアラフィフまで独身のままと「一人で生きていく」ヒロインが主流になるかと思われました。

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しかし『ちゅらさん』(2001)でやっぱり家族が大事だともとに戻る。『ちゅらさん』は朝ドラヒロインのパターンを自覚するなど大きな転換点になりました。
その引き換えとして現代の女性の問題から離れていく傾向が。

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長期低落傾向をなんとかしようとする動きが始まりました。すぐには効果はないものの『ちりとてちん』はその後に影響を与える作品でした。

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本放送開始時間を8時に変更するとともにテコ入れしついにV字回復。現在に至ります。

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