ドラマ・クロカイブ

AllAboutドラマガイドが書ききれなかったことをつづります。

80年代朝ドラを支えた無名塾

BSプレミアムで再放送中の『はね駒』。28話、東北女学校の試験でヒロイン・りん(斉藤由貴)の「終生の友」となる浜田くにが初登場。演じる菅原亜希代、最近みないけどどうしたんだっけ?と調べると、仲代達矢主宰の無名塾にずっといて舞台中心なんですね(現在の芸名は菅原あき)。

 

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『はね駒』には同じ無名塾から益岡徹も登場。『はね駒』に限らず、80年代を中心に多くの無名塾所属俳優が朝ドラで活躍しています。

ヒロインでは81年上期『まんさくの花』の中村明美、87年下期『はっさい先生』の若村麻由美、89年下期『和っこの金メダル』の渡辺梓。男性主人公では90年上期『凛凛と』の田中実。81年から90年の10年で見ると19作中4作で主演を出しています。

他にも主要キャストだと83年『おしん』で一緒に旅していた孫の圭に大橋吾郎、84年上期『ロマンス』で榎木孝明演じる男性主人公の妻役に小宮久美子。

 

www.mumeijuku.net

 

 

なぜ無名塾俳優が朝ドラで活躍したのか。これについては80年上期『なっちゃんの写真館』に出演していた石田純一が「無名塾の俳優はマジメだからNHKの人に好かれる」といっています。『なっちゃんの写真館』で無名塾俳優というとヒロイン(星野知子)のいとこ役の岡本舞とゲスト的に出演の役所広司

石田純一の話は「僕は不マジメで」と続き、収録期間中に海で遊んで日焼けしたためシーンがつながらなくなり、出演シーンがカットされてしまったエピソードにつながります。

さすが定期的に物議を醸す話題を提供する石田純一。今はコロナウィルス感染で入院中ですが、元気になってまた世間を騒がせてほしいものです。

 

ところで『なっちゃんの写真館』を調べていると、モデルになった徳島の立木写真館、立木義浩の実家ですね、が自己破産したというニュースを見つけました。時代の流れでしょうか。

www.tsr-net.co.jp

川栄李奈と伊藤沙莉と『いいね!光源氏くん』

ひところ川栄李奈が女優として活躍しだして、ネット上で「ゴリ押しだ」といわれていました。

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個人的に気になったのはTBS系、笑福亭鶴瓶MCの『A-Studio.』。2018年3月末にゲストとして出演。「TBS関連の番組か映画の宣伝?」と思いつつ見ていたら、最後に4月からのサブMCになることが発表に。
『A-Studio.』のサブMCは本田翼、波瑠、森川葵などその後ブレイクする女優が多い。サブMCになるのはいいんだけど、その前にゲストとして出演するという特別扱いに違和感がありました。

その成果なのか2019年には『3年A組-今から皆さんは、人質です-』で主要な生徒の一人、『いだてん』は初回から最終回までだいたい出演。『家政夫のミタゾノ』第3シリーズはレギュラー女優の一番手まできました。しかし5月にできちゃった結婚で出産・子育てに入り、勢いはストップ。

当時、思ったのは「これがゴリ押しじゃなかったら、伊藤沙莉が同じくらい売れていいはずだ」。伊藤沙莉川栄李奈と年齢的役柄的にだいたい同じようなポジションにいると思います。

 

www2.nhk.or.jp

川栄李奈の所属事務所はエイベックス・マネジメントとゴリ押しできそうなところに対して、伊藤沙莉所属のアルファエージェンシーは一番大物で豊川悦司、あとはおなじみの演技派助演俳優が豊富で、ここがなくなるとドラマや映画がつくりにくそうな事務所ですが、ゴリ押しできそうなところではありません。

 

ところが川栄李奈できちゃった結婚と入れ替わるように伊藤沙莉がうれてきた。

特にNHKに好まれていて、『これは経費で落ちません!』で経理課の後輩、単発の『三浦部長、本日付けで女性になります。』で三浦部長(ムロツヨシ)の部下、アニメ版『映像研には手を出すな!』で主人公の声。そして現在放送中『いいね!光源氏くん』では千葉雄大演じる光源氏が主人公で、伊藤沙莉は相手役。

普通の女性を演じられる女優が求められているということでしょうかね。

 

ということで『いいね!光源氏くん』。なんでフィクションの光源氏が現代にタイムスリップしてくんねん!とツッコミをいれつつ、なかなか楽しめます。撮影は1〜3月の予定だったので、おそらくもう全部完了しているでしょうから、最終回まで安心して楽しめるだろうことが、現在の状況としてなによりです。

スーパーたのくらでも売っていたヒノデビール

朝ドラ100作記念で再放送された『おしん』の最終回。スーパーたのくらの経営危機を乗り越えて、みんなで宴会しているシーンでびっくりしたのは「ヒノデビールを飲んでる!」。

ヒノデビールについては昔書きました。

allabout.co.jp

NHKドラマは実在の企業の名前を出せないので、ビールにも気をつかい、昔はラベルの方向に気を使って映さないようにしていました。それがあるときからオリジナルブランド・ヒノデビールを使うように。それはいつからか?1996年、富田靖子主演で酒屋を舞台にした『いらっしゃい』からではないかと推測していました。

ところが1983年の『おしん』にあった。ただ当時の画像の鮮明さの問題で「ヒノデビール」という字が読めたわけではなく、マークでわかる状態。スーパードライ発売以前のアサヒビールも朝日マークでしたが、アサヒビールは日が昇って太陽の丸がすべてでているのに対し、ヒノデビールは日の出の途中なので半分隠れていると違いがあります。

登場当時は映っていても気づかなかったけど、テレビ技術の進歩で画像が鮮明になるとともにヒノデビールの存在がはっきりしてきました。そしてヒノデビールに気づいてから再放送を見ると、より昔からあることに気がついたわけです。

 

となると、いつごろ登場したかを確認しなくてはいけない。まずは1981年の『夢千代日記』を見るとありました。続いて1979年の『阿修羅のごとく』を見ると、ラベルの方向で見せない昔からの方法でした。どうも1980年ごろのようです。

次は1980年の『阿修羅のごとく』パート2を見なくては。

『スカーレット』も『麒麟がくる』も琵琶湖が重要

『スカーレット』を見ていて気になっていては琵琶湖がほとんど出てこないこと。
滋賀県は琵琶湖だろという以外に、信楽という山あいが主な舞台だけに、重要なシーンは広がりのあるところに出てきてほしかった。2時間ドラマの最後は崖で犯人が告白するようなもので。

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近年の朝ドラだと『半分、青い。』も岐阜県の山の中の街が舞台だったけど、東京に行っている時間の方が長かった。『スカーレット』はほとんど信楽でちょっと大阪。

 琵琶湖が出てきたのは初回の一家がリヤカーに家財道具を載せて滋賀県に来たときと最終回でみんなで琵琶湖にいったとき(初回では父が、最終回では貴美子が「ようみとけ。こっちの心も大きくなる」と繰り返してる)、そして武志が入院した滋賀県立中央病院の病室からも琵琶湖が見えた、その3回だと思います。大事だから最初と最後に出てきたということでしょうけどね。

 

朝ドラをずっと見ていると東京制作より大阪制作の方が金がかかっていないように見えます。俳優の交通・宿泊費がかかるとかスタジオの広さとかによるものだとは思うのですが、『なつぞら』と『スカーレット』はそれだけでは説明できないような。100作記念作で予算を使って、『スカーレット』が割をくったのではないか、と邪推したくなります。
働き方改革」も原因かもしれません。ロケもスタジオのセットチェンジもスタッフに負担がかかるので少なくしようという。

 

琵琶湖登場シーンをチェックするのに初回を見返して思い出したのは、川原一家なぜ大阪から琵琶湖岸を通って信楽にいったのか問題。
普通は旧国鉄信楽駅まで行くだろうからおかしい、といわれていました。しかし、荷物が大き過ぎて鉄道ではいけなかったのかもしれない。

そこで戦後すぐはまだ使われていた水運を使った可能性を考えました。淀川で京都の伏見までいけます。『あさが来た』の姉妹は舟で京都から大阪に嫁入りし、その後も再々、京都に戻りますけどあれもたぶん舟。
伏見から京都の中心部には昔は高瀬川でいけたけど(森鴎外の「高瀬舟」がそれ)、大正時代に水害でなくなったようだ。そこはリヤカーを引っ張って岡崎まで行くと琵琶湖疏水を使って大津まで行ける。それなら琵琶湖岸を通って信楽にいくというのもコースとしてはおかしくない。上り坂なのでたいへんですけど。

 

自動車や鉄道が発展した現代では忘れられがちですけど、昔は水運が重要でした。織田信長の天下統一でも琵琶湖を使って陸路よりはやく移動できるのは重要で、安土城は今は埋め立てられた湖を使って琵琶湖にアクセスできました。

明智光秀坂本城羽柴秀吉長浜城も琵琶湖岸です。いままでの大河ドラマではあまり描かれませんでしたが、『麒麟がくる』で琵琶湖の戦略的重要性が描かれるとおもしろいのですが。初回、光秀(長谷川博己)が堺に行く途中に琵琶湖で舟にのって「広いのー」と感心していました。きっと心も大きくなったことでしょう。

さすがジャパネットたかた

BSテレ東で2月20日(木)17:58から始まった『マニアックな人々』。
初回のテーマが「時代劇にすべてを捧げた愛すべき人たちへ」ということで見てみました。
MC松尾貴史でゲストに松平健京本政樹。ゲストの時代劇トークをまじえつつ、紹介されたマニアックな人々は

食料品店の時代劇村

www.bunka.pref.mie.lg.jp

店主がちょんまげ姿の洋食サムライ

nlab.itmedia.co.jp

散髪屋さんの小阪城

www.w-higa.com

1/23のミニ姫路城

kaneharamiwa.club

時代劇映画を自主制作

www.creators-station.jp

ここまではありそうな企画だけど、ちょっとおかしいなと思ったのはこれを伝えるリポーター「ジャパネットたかた入社二年目、新人MCの西川由梨乃です!」

えっ、と思って調べるとこの番組、スポンサーだけじゃなく制作もジャパネットたかた。自社スタジオを持っているだけにこんな番組も制作できるのか。いや、待てよジャパネットたかたがこのまま終わるわけない、だいたいこの番組、途中にCMが入ってない。
見守っていると2時間番組が90分で終了。残り30分ではじまったのは「長谷川伸シリーズDVD-BOX」のテレビショッピング。やっぱりか。

長谷川伸シリーズ』東映制作で1972〜1973年にNET(現・テレビ朝日)系で放送された一話完結の時代劇。鶴田浩二主演「沓掛時次郎」、勝新太郎主演「一本刀土俵入」など股旅ものを得意とした長谷川伸の小説群をドラマ化したもの。
今でも芝居になることが多い長谷川伸作品、これを見ておぼえました。

2010年にDVD-BOXがつくられた「幻の作品を1000枚限定受注生産」といっているけどAmazon見ると10年前の在庫がまだある。

www.amazon.co.jp
それが84300円(税込み)で、今回が33000円(税込み)。東映ビデオでは37600円(税別)だから、ジャパネットに連動して下げたか。

www.toei-video.co.jp

番組を撒き餌にしてDVDを売るというのはさすがジャパネット。きっと1000枚売り切るんでしょう。

2回め、2月27日放送のテーマは「家電」。北海道の掃除機マニア少年が出てきて、日立の工場に見学。テレショップはもちろん日立の掃除機と炊飯器、わかりやすい。

3月の番組表を見ると次の放送予定はなし。果たしてこのまま続いていくのか?続くとしたらどんなマニアックな人々とそれに連動した商品が出てくるのか?

NHKは『いだてん』をあきらめてない

2020年4月の新年度が近くなって、NHK BSプレミアム大河ドラマと朝ドラ再放送情報がでてきました。

日曜朝6時からの大河ドラマ再放送は『太平記』。これは『麒麟がくる』と同じ池端俊策脚本つながりですね。「『太平記』で室町幕府の始まりを書いたから、次は室町幕府の終わりを書きたかった」といっています。

大河ドラマでは『太平記』でしか描かれていない南北朝時代足利尊氏(真田広之)と足利直義(高嶋政伸)の兄弟が戦う「観応の擾乱」も、これまでなじみがありませんでしたが、新書がベストセラーになりました。
見返すのが楽しみです。

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月〜土7:15からの朝ドラ再放送は『はね駒(こんま)』。

BSプレミアムでの朝ドラ再放送は『さくら』以降のハイビジョン化された作品が中心で一昨年までの例外は『ちゅらさん』のみ。しかし朝ドラ100作記念『おしん』が話題になり、昔の作品もまだまだいけるということなのか引っ張り出されてきました。

おしん』から現代ものに転換するきっかけになった『青春家族』までの間のヒット作というと『澪つくし』と『はね駒』。母親役の樹木希林人気もポイントでしょうか。父親役の小林稔侍、夫役の渡辺謙の二人はこの作品でブレイクしました。

dramakuro.hatenablog.jp

そしてもう一つ『いだてん』も4月6日18:15から(初回は18時から)、毎週月〜水の変則で再放送されます。東京オリンピックを見据えてNHKもまだ『いだてん』をまだあきらめていないんですね。


ああいうややこしい構造の作品は昔から視聴率はとりにくいんですよ。代表的なのは1983年TBSの『淋しいのはお前だけじゃない』。大衆演劇一座が舞台、ドラマのストーリーと劇中劇がからみあう複雑な構造で、一部には絶賛されたけど視聴率的にはさっぱりでした。その後、好きな人が名作と言い続け、CSで放送される時代になって知られるようになりました。
宮藤官九郎脚本作品『タイガー&ドラゴン』は大衆芸能(大衆演劇と落語)、借金、西田敏行の三要素が共通していて、クドカンも好きだけど「マネはしてないです」といっています。

何回か再放送すれば、そのうち風向きが変わるような気がしますが、東京オリンピックが終わってしまうとどうなるでしょうか。

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やっぱりドラマの勢いで結婚してはいけない

 

東出昌大唐田えりかと不倫で杏と別居の話題が芸能ニュースを賑わせています。

ドラマで共演した俳優同士の結婚については、『北の国から 2002遺言』の吉岡秀隆内田有紀が離婚したときに書いたことがあります。

allabout.co.jp

共演すると濃い人間関係となるけど、撮影が終わると会う理由がなくなってしまう。さらに作品中で恋人役だと疑似恋愛になってしまいます。それで判断を誤ってしまう人が多くなるんでしょうね。

ドラマの恋愛関係のまま結婚してしまうリスクというのも、今回あきらかになりました。今後『ごちそうさん』を見ると視聴者は不倫を思い出してしまいます。ヒット作を傷つけられて、NHKはカンカンでしょう。
今後、同じようなパターンで結婚しようとする俳優は反対される可能性が強くなりそうです。やっぱりドラマの勢いで結婚してはいけない。

 

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さて東出昌大テレビ朝日系『ケンジとケイジ』に桐谷健太とダブル主演中。第一話は12.0%と1月スタートの民放連ドラの中では『トップナイフ』に次ぐいい数字でしたが、不倫が報じられた直後の2話は9.7%と急落。

正直、第一話を見てもむりやりコメディにしようとしてスベっている感がありました。刑事と検事の立場の違いを描くのがテーマの作品だから、『踊る大捜査線』みたいに普通の演技しているのがおもしろい、というように描くべきではないかと。だから不倫がなくても視聴率は落ちていたと思います。やじ馬視聴者もいたでしょうから、3話はさらにダダ下がりと予想。

 

一方、唐田えりかが病棟クラーク役で出演の『病室で念仏を唱えないでください』は2話で出演シーンカット。こちらの第一話を見ての感想は、内容はいいけど登場人物多すぎ。それでもまだレギュラーキャスト表をみると泉谷しげる土村芳が出演していませんでした(2話から登場)。だから一人減って、見やすくなってます。
1話で伊藤英明演じる救急医で僧侶の主人公の相談相手として、掃除のおばちゃん役の宮崎美子の出番が多かったのに、2話では1シーンだけ。このあたりがカットされたのかもしれません。