ドラマ・クロカイブ

AllAboutドラマガイドが書ききれなかったことをつづります。

松原智恵子と朝ドラ史上最大のパンデミックと『隕石家族』

やすらぎの郷』の最後で八千草薫演じる九条摂子が死んだのを見て、「続編ができるなら、きっと松原智恵子やすらぎの郷の住人になるだろう」と思い、『やすらぎの刻〜道』で予想は的中しました。というのも「おっとり」というキーワードで八千草薫に一番近いのは松原智恵子だから。

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もちろん違うところもあります。八千草薫はドラマの代表作が『岸辺のアルバム』と『阿修羅のごとく』で芯の強いイメージもあります。それに対して松原智恵子は日活映画時代に演じたヒロインは小林旭、渡哲也などの主人公に「父を、父を助けてください」と頼み、それで主人公を危険なところにいかせるイメージがあり「お願いさせたら日本一」だと思います。

ドラマではよくいえば世間ずれしてない、悪くいうと頼りにならない母親役が多かった。代表的なのは朝ドラ『あぐり』。朝ドラ史上最大のパンデミック、スペインかぜにより弁護士で県会議員の夫(田村亮)と長女・次女を亡くし、経済的に困窮。そのためヒロイン・あぐり(田中美里)は15歳の女学生だったのに建築業望月組の長男・エイスケ(野村萬斎)と結婚しなくてはいけなくなりました。

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『やすらぎの刻』で演じた九重めぐみもおっとりしたキャラで、さらに認知症により高井秀次(藤竜也)に世話されるという、松原智恵子イメージの到達点というべき役でした。

現在出演中、フジ系土曜23:40からの『隕石家族』では、いい年をした息子(天野ひろゆき)をいまだに心配して、嫁(羽田美智子)にあたる姑役。東海テレビ制作らしくひねっています。同じ枠では以前に『ウツボカズラの夢』にも出演。タイトルの意味にかかわる祖母役で、これも松原智恵子イメージをうまくつかっていました。

 

『隕石家族』は半年後に隕石が落ちる中での普通に生きる家族の日常を描くホームドラマ。変わっていて楽しめます。現在の状況に似ている、という記事もありました。いうほど似ているわけではないけど、これまでとは違った状況で家族のことを考えるという意味では通じるものはあります。

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こんな変わったドラマをつくろうと思ったのは、昨年の7月に直径130メートルの小惑星が地球の約72000kmのところを通過したというニュースからでしょうか。それとも、タイムスリップと男女入れ替わりに影響された作品が多くでてきた『君の名は』の隕石衝突の部分に影響されたのでしょうか。

いやいや、でてくるカフェの店名が「イスカンダル」でブラザー・トム演じる店長の役名が古代鉄郎なので、白色彗星がでてくる『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』『ヤマト2』及びそのリメイク作『ヤマト2202』オマージュなのかも。

そういえば松本零士に『ワダチ』という作品があるのを思い出しました。松本零士出世作男おいどん』に連なる、作者自身の貧乏な四畳半生活がモデルの路線かと思いきや、途中から日本人全員が宇宙移民して新しい地球をつくるというSFになる。四畳半ものと宇宙SFものという松本零士の2つの得意パターンを合体させた作品でした。