ドラマ・クロカイブ

AllAboutドラマガイドが書ききれなかったことをつづります。

近年なかった設定変更『おっさんずラブ-in the sky-』

手堅くヒットすることを期待され、近年は続編ものドラマが増えています。この秋のドラマでは12年ぶりの『時効警察はじめました』に13年ぶりの『まだ結婚できない男』と空白期間の長い続編があり、いつもより注目されました。

そんな続編ものの一つに『おっさんずラブ-in the sky-』がありました。デキは期待はずれだったようで失速。その理由はともかく、雑誌LDK12月号の連載「小田慶子のドラマ斜め読み!」が興味深い指摘をしています。
前作の舞台が不動産会社で今回はLCC格安航空会社のピーチ。続編でこんな変更をしたのは「1978年から放送された『熱中時代』で水谷豊さんが「教師編」「刑事編」の2パターンを演じたという事例以来」とのこと。

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舞台設定となる職業が続編で変わるというのは昔はよくありました。最も有名なのは『ありがとう』の1〜3シリーズでしょう。水前寺清子山岡久乃石坂浩二など主要メンバーは変わらず、警察と保育園、病院、魚屋と八百屋など商店街と設定が変わりました。
いわれてみると80年代以降はなくなったイメージ。しかし完全になくなったわけでもないだろう、と調べてみました。

80年代に入ってみつけたのは石立鉄男主演の『天まであがれ!』。1982年のパート1が脱サラして喫茶店兼スナック店主なった主人公が甥と姪(甥は坂上忍)をひきとるという『パパと呼ばないで』路線。ちなみに主題歌は出演していた嶋大輔の「男の勲章」。翌年の『天まであがれ!2』は警官に変わっています。

しかし80年代前半ではまだ誤差の範囲という気がする。もっと新しいのはないか、探して90年代にみつけました。NHKドラマ新銀河『この指とまれ!!』。藤山直美主演で95年のパート1は小学校教師、97年のパート2は医師。共通する主要キャストは桂枝雀岸部一徳國村隼國村隼はこの2作の間に『ふたりっ子』でブレイクし、映画『萌の朱雀』で評価を高めたためか、パート1の児童の父からパート2ではヒロイン夫とポジションアップ。
藤山直美主演の朝ドラ『芋たこなんきん』では國村隼が再び夫役、祖父役に岸部一徳と、亡くなった桂枝雀を除きまた顔をそろえることになります。

こういうパターンのドラマは昔風の劇団興行という感じがします。同じようなメンバーでちょっと違う演目をするという点で。それに対して、最近は同じ設定のまま続編を何作も続けていくのが主流で、それはロングランを続ける劇団四季みたいなものでしょうか。