ドラマ・クロカイブ

AllAboutドラマガイドが書ききれなかったことをつづります。

早坂暁脚本といえば

昨年末、早坂暁さんが亡くなられた時、三谷幸喜朝日新聞の連載エッセイで代表作の一つ『天下御免』『天下堂々』について書いていました。同級生の父親が岡っ引き・スッポンの市兵衛役の村上不二夫ということで訪問。サイン入りの脚本をもらって、その中に「脚本・早坂暁」とあり、初めておぼえた脚本家の名前だったと。

1月1日放送の『風雲児たち蘭学革命篇~』は『天下御免』と平賀源内、杉田玄白前野良沢田沼意次など登場人物が重なっていて、意識して書いたようです。見た感じは前野良沢(片岡愛之助)と杉田玄白(新納慎也)がいかに解体新書をつくり、また袂を分かったのかを中心に、手堅くおもしろくまとめていました。もうちょっと弾けた方がよかったような。

大河ドラマ、江戸時代は元禄時代まではよく描かれ、それから『八代将軍吉宗』があって、その後は明治維新に飛んでしまい、江戸時代後期は無し。田沼意次の時代はやればおもしろそうな気がするんですけどね。


早坂脚本に話を戻すと、自分も『天下御免』は見ていますが、その時はまだ「早坂暁」という名前は気にしてなかった。印象に残ったのはNHKのドラマ枠「ドラマ人間模様」からです。「ドラマ人間模様」スタートは1976年で翌77年には俳人・西東三鬼が主人公の『冬の桃』に78年に森繁久彌が老結婚詐欺師を演じる『赤サギ』あたりから。
78年には大岡昇平原作の『事件』がありますが、これは中島丈博脚本。79年の『続・事件 海辺の家族』から早坂暁に。原作があると思って引き受けたらオリジナル脚本だった、と本人が語っていました。81年からは『夢千代日記』も始まります。『花へんろ・風の昭和日記』シリーズもあり、「ドラマ人間模様」といえば早坂暁脚本が看板でした。

演出サイドの看板は深町幸男。『冬の桃』で早くも早坂・深町コンビ。これより前の深町幸男、新東宝出身の映画スタイルで脚本を自分で変えるクセがあり、テレビドラマではうまくいっていませんでした。NHKの上司が一計を案じ、筆が遅くて「遅坂」と呼ばれていた早坂となら脚本を変える時間もないだろうと組ませて成功。その後も『事件』『夢千代日記』『花へんろ』とコンビを組みます。

 

「ドラマ人間模様」が終わったのは1988年。バブルのさなかではあんな暗くて深いドラマは受けいれられません。早坂脚本を見る機会も少なくなり、テレビドラマ脚本の最後は1998年の『七人の刑事』最後のスペシャルでした。

代表作『夢千代日記』が1月8日〜10日に再放送されます。

 

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