ドラマ・クロカイブ

AllAboutドラマガイドが書ききれなかったことをつづります。

テレビドラマ史上ナンバーワン女優

ヒットした『やすらぎの郷』の続編、4月スタートの『やすらぎの刻(とき)~道』で八千草薫がヒロイン役をがん治療のため降板したというニュースがありました。
このニュースであるスポーツ紙のサイトが「降板するのは初めて」と書いていましたが、これは間違い。『赤い疑惑』で山口百恵の母親役だったけど、山口百恵がアイドルで忙しく、後ろ姿だけの代役相手に芝居させられるなど制作体制が納得いかなくて6話で降板するということがありました。
TV番組の芸能コーナーで「病気で降板するのは初めて」といっていて、それが正解。スポーツ紙も間違いに気づいたかインターネット上に記事は残しているもののリンクではたどれないようにしています。ただ、他のニュースサイトに配信している分は表にでてますね。間違いを自覚してるようなので名指しするのはやめとこうと思ったけど、直後にフィフィ誤情報ツィート問題で拡散に加担していたのでやっぱり書こう、ファクトチェックを!日刊スポーツ。

www.nikkansports.com

倉本聰、『やすらぎの郷』だけ見ても八千草薫が大好きだなとわかります。

blog.goo.ne.jp

他にも山田太一脚本の『岸辺のアルバム』と向田邦子阿修羅のごとく』のテレビドラマオールタイムベストテンクラスの2作に主演していて、いまドラマを作っている世代もそれを見ているから八千草薫、仕事が絶えません。ぼくもテレビドラマ女優としては史上ナンバーワンだと思っています。ピークが高くかつ長く第一線に居続けている女優は他にいません。

『やすらぎの刻』のヒロイン代役は風吹ジュンで『阿修羅のごとく』四姉妹の四女。四姉妹からもう一人、三女のいしだあゆみも老人ホーム「やすらぎの郷」の入居者として新登場。八千草薫も前作から引き続きの九条摂子としては出演するそうで、四姉妹中三人が揃い踏みします(長女役は故・加藤治子)。

いしだあゆみは演技派ですけどこの10年ぐらいは年に1作出るか出ないかぐらいのペース。ドラマは2015年、BSプレミアム芦田愛菜主演の『ラギッド!』以来。出るたびに激ヤセだ、と思うので健康面に問題があるんでしょうか。

 

『大恋愛』とアート引越センターはなぜコラボした

年明けに引越ししたため、12〜1月はそれに追われてブログ更新が滞りました。

ドラマで引越しといえば2003年の『あなたの人生お運びします』。アート引越センターの創業者、寺田夫妻をモデルにしたサクセスストーリー。ただ演じたのは藤原紀香にぐっさん山口智充で引きが弱く、内容でもボチボチだったためヒットしませんでした。


しかしTBS制作、大石静脚本にアート協力というパッケージは15年後、出会いが引越しという『大恋愛』で実を結びます。「異色のコラボ」「新しい広告のありかた」と言われましたが『あなたの人生お運びします』からすると正常進化です。

 

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それから1993年の『引っ越せますか』。恵比寿の古くて狭い家を売り金沢八景の6LDKに転居しようとするが転売も難しい不良物件をつかまされ、そのゴタゴタで家族がバラバラになってしまうというストーリー。ただし制作がトラブって、脚本家と主演の大地康雄のふたりが途中降板というネガティブな意味での伝説のドラマです。

『引っ越せますか』を含めた不動産関連ドラマは以前まとめました。

allabout.co.jp

なかなかヒットしなかった不動産ドラマですが『家売るオンナ』でついにブレイク。
一作できると続くもので直後に二本の不動産連ドラが放送されています。

まずはテレビ東京で『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』。吉祥寺で姉妹(大島美幸・安藤なつ)が営む不動産屋が舞台。吉祥寺に住みたい客がやってくるが、その理由を聞いてそれにあった吉祥寺以外の物件を紹介するというもの。

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もう一つはNHKBSプレミアム『プリンセスメゾン』。居酒屋に勤める沼ちゃん(森川葵)は持ち家取得に強い意欲を持ち、堅実に貯蓄をしマンションを見学。担当する不動産社員やすでにマンションを取得した女性たちの思いを描きます。交際してすでに破局したといわれる高橋一生森川葵が出会った作品でもあります。

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『家売るオンナ』が2016年7〜9月放送で、『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』と『プリンセスメゾン』が10月から、直後過ぎて『家売るオンナ』がヒットして二匹目のドジョウを狙ったわけじゃない。同時多発ドラマ化は不動産が活況だからでしょうかね。

2巡目に入った朝ドラ主題歌

まんぷく』のオープニング、歌や映像が嫌いという話題。なんでも好き嫌いはあるからそれはしょうがない。

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そういえば、92年『ひらり』主題歌「晴れたらいいね」でも嫌い、日本語としておかしいという意見がよくありました。歴史は繰り返す。

連続テレビ小説、朝ドラのテーマ曲は昔は歌詞なしが基本。あってもドラマがヒットしたので歌詞を後付けして歌にしたというパターンが多い。最初から主題歌だったのは84年の『ロマンス』が初。男性主演の榎木孝明と芹洋子のデュエットでした。


今のように主題歌が主流になったのは『ひらり』「晴れたらいいね」から。当時はフジテレビのトレンディドラマ路線からの流れでドラマ全体が変わってきた時期。影響で朝ドラも一代記から現代もの主流に。89年の『青春家族』から変わり始めて、92年『ひらり』をはさんで96年の『ひまわり』『ふたりっ子』で路線変更が完了したと思います。主題歌、それもJPOPが中心になったのもそれと同期してます。

 

ドリカム朝ドラ主題歌26年ぶりというのを聞いて思ったのは「一巡したな」。歌いそうな人はおおむね歌った。これからは二回目が増えてきそう。

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担当しそうで担当してないビッグネームを考えると一番は吉田拓郎でしょうか。主題歌をやらないとかNHKは紅白に出てくれとうるさいからイヤだとかということではたぶんなく、たとえば2011年のNHK版『新選組血風録』で主題歌「慕情」を提供しています。

ちなみにNHK版『新選組血風録』、第8話「臆病者」のメインゲスト綾野剛が抜群によかったのが印象深い作品です。綾野剛、その前は坂元裕二脚本『MOTHER』野島伸司脚本『GOLD』大石静脚本『セカンドバージン』などに出演し色男系の俳優なのかな、と思っていました。しかし『新選組血風録』ではストイックな武士を演じて見直しました。数ヶ月後には『カーネーション』に出演しブレイクします。

 

ドラマを制作して出世できるか

ちょっと前になりますが10月4日の『徹子の部屋』ゲストは藤田弓子。この中で朝ドラ『マー姉ちゃん』のキャスト・スタッフが集まる会がまだ続いているといっていました。問題はその幹事で当時はAD、現在はNHKのえらい人「社長クラス」になっている、ということです。


NHKでドラマをつくっていて、現在出世しているというと木田幸紀放送総局長。会長・副会長に次ぐNHKのナンバー3。一般の大企業でいうと会長がいての社長・COO(最高執行責任者)ぐらいでしょう。ドラマ制作者としては大河『独眼竜政宗』の演出の一人だったし、『毛利元就』で制作統括。
ただWikipediaで経歴を見ると1977年入局で旭川放送局に。ドラマ部になったのは1982年。『マー姉ちゃん』は1979年なのでちょっとあわない。籍は旭川のままで応援で担当したということもあるかもしれませんが。

 

昔からテレビドラマを見ていながら考えていることに「テレビ局員がドラマを制作して出世できるのか?」があって、その観点から見ると木田幸紀放送総局長、「三大出世した人」の一人です。

三大出世した人、一人目はTBS元常務の鴨下信一。『岸辺のアルバム』『ふぞろいの林檎たち』など名作を演出し「ドラマのTBS」の看板的存在。常務になったのが、おりしも「TBSビデオ問題」の頃だったため、国会に参考人としてたびたび引っ張り出されたあげく社長とともに責任をとって退任。現在も白石加代子「百物語」の構成・演出を手がけるなど83歳でまだ現役です。

もう一人はフジテレビの前社長の亀山千広。代表作はもちろん『踊る大捜査線』。映画事業局長として成果を出したことで社長に。しかし低迷するフジテレビの立て直しができなかっため退任し、BSフジ社長にスライド。そのためか映画公開20周年記念で『踊る大捜査線』世界の中にある『警視庁捜査資料室(仮)』(甲本雅裕演じる緒方薫が警部に昇進して上司になってる)がBSフジで10月から始まりました。

www.nihon-eiga.com

亀山社長が誕生したところで「ドラマを制作して出世できるのか?」という疑問の答えが出ました。ドラマだけでは社長にはなれない、映画などで直接的に利益を出さなくてはいけないのだと。

朝ドラ記念作は大ヒットした『おしん』の方が例外

www.cyzo.com

まんぷく』が調子いいと連続テレビ小説100作記念作である次回作『なつぞら』の方が視聴率が悪かったらどうする、という記事。

心配なようなので過去の記念作の前作との視聴率差を調べてみました。「記念作」の調査ソースはWikipediaで「記念」と書いてある作品。

タイトル 記念 視聴率差
1983 おしん NHKテレビ放送開始30周年 +19.8
1990前 凛凛と 放送開始65周年 -1.0
1991 君の名は NHK連続テレビ小説30周年 -6.9
94〜95 春よ、来い NHK放送開始70周年 -1.2
2006前 純情きらり NHK放送開始80周年 -2.9
2009前 つばさ NHKFM放送40周年 -1.0
2011前 おひさま -1.0

『おひさま』だけ「『娘と私』放送開始から数えて50周年となるのを記念する作品として位置付けられた」と奥歯にものがはさまったようなことが書いてあります。おそらく放送前は「50周年記念作」といっていたんだけど、開始直前に東日本大震災があったため「記念」を引っ込めたんでしょうね。

並べたらわかるように朝ドラのみならずドラマ史上最大のヒット作『おしん』を例外として、軒並み前作より視聴率を落としています。特に『君の名は』がひどい。それとヒロイン交代騒動があった『春よ、来い』。1975年に放送期間が一年から半年になったあとに、スペシャルで一年間放送されたのは『おしん』『春よ、来い』『君の名は』の三作ですが、落差がひどくて黒歴史レベル。

『君の名は』は真偽は定かではありませんが、NHK当時の会長が「昔の『君の名は』みたいなのをつくったら」といったからホントにそうしたんだ、という噂があります。「記念作」だとそういう上からの意見が強くて、現場が自由に作れなくなってしまうのが低迷の原因ではないかと。

ということで、『なつぞら』関係者のみなさまには「前例がこれだから気楽にいこう」。視聴者のみなさまには「大きな期待を持つな」といいたいと思います。

2000年放送のブレイク俳優輩出作品から久々に

出演した俳優が後にたくさん売れる作品というのはたまにありますが、個人的に一番そうだと思うのはNHKが2000年4〜6月に放送した『六番目の小夜子』。この作品の生徒役が次々に売れています。

始まる前から売れていたのは主演の鈴木杏で97年豊川悦司主演の『青い鳥』から。
Wヒロインの栗山千明は同じ年の年末公開の映画『バトル・ロワイアル』で注目され『キル・ビル』につながる。
男優一番手の山田孝之は前年の『サイコメトラーEIJI2』がデビュー、2作目が『六番目の小夜子』でその後、大河『葵 徳川三代』で竹千代(後の家光)役、朝ドラ『ちゅらさん』のヒロイン弟。
山田孝之の弟役が勝地涼で、同時並行で2000年4〜6月放送の『永遠の仔』で渡部篤郎演じる主人公の少年時代役。ちなみに共演の椎名桔平の少年時代役が浅利陽介。ところで勝地涼がブレイクしたのは前髪クネ男?結婚報道の時にもそういわれていたような。
さらに同級生役で出演していた山崎育三郎が20代になってミュージカル俳優として頭角を表します。

このあたりで打ち止めかと思っていたけど、『ホリデイラブ』から現在放送中の『ブラックスキャンダル』で松本まりかが注目されてきました。

otekomachi.yomiuri.co.jp

六番目の小夜子』ではヒロインの親友で学級委員長の4番手ポジション。以前は特徴的なアニメ声が足を引っ張っていたような印象でしたが、30代になってそれを武器にできるようになりました。

こうなると次もあるかもしれない。一番可能性があるのは文化祭実行委員長役(文化祭が山場だった)の内野謙太。助演俳優としてコンスタントに活動、個人的には『ウルトラマンメビウス』の防衛隊隊員役が印象深いところ。


最後に『六番目の小夜子』について。1970年代、NHKに「少年ドラマシリーズ」がありました。筒井康隆時をかける少女』を原作とする『タイムトラベラー』などが人気で、当時の少年少女のSFマインドを醸成。『君の名は。』もその流れにあるといっていいでしょう。

 

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少年ドラマシリーズ」は時代的に映像がほとんど残ってなく、その意味でも伝説のシリーズ。それを現代に蘇らせようとしたのが『六番目の小夜子』。原作の恩田陸(これがデビュー作)も「少年ドラマシリーズがモチーフ」で書いたといっています。
内容もそれにふさわしい完成度で少年ドラマシリーズをきちんと成仏させた作品だと思います。

『昭和元禄落語心中』古くて新しいNHKの拡大版

NHK金曜22時ドラマ10の新作『昭和元禄落語心中』。原作の内容から期待作ですが、不安点は名人と言われる八代目有楽亭八雲を岡田将生が70代まで演じること。『わろてんか』で喜楽亭文鳥を演じた笹野高史で年齢的には丁度いいぐらい。
しかしドラマを見ると不安を吹き飛ばす仕上がり。落語そのものは名人かといわれると違うとは思いますが、そこは本物の名人でなければ難しいのでおおめに見ましょう。

 

内容もさることながら『昭和元禄落語心中』が興味深かったのは通常放送は22:00〜22:45のところ初回は25分拡大だったこと。民放ドラマではよくあるパターンで、NHKでも大河の初回、最終回でよく延長しますが、それ以外のNHKドラマではめずらしい。
6月放送の土曜ドラマバカボンのパパよりバカなパパ』も初回拡大73分でしたが、あちらは通常は28分なので3話分、民放の2〜3時間スペシャル的イメージ。

初回に限らず、最近はよくドラマの放送延長があります。スペシャル感を出したいというのがそもそもの理由でしょうが、実利的には他局がCMの間に放送するのでその間に視聴率があがるという理由があるようです。NHKの意図は前者か後者か?

しかしドラマの放送時間をフレキシブルに変えるということについてはNHKは実は先駆者です。1975年から始まった土曜ドラマは基本70分だが内容によって延長。初期の代表作、山田太一脚本『男たちの旅路』だと70分、75分、車椅子の障害者をテーマにした『車輪の一歩』が90分、最後のスペシャルが120分とばらけています。

 

 

時代は下って2017年から土曜ドラマは28分放送になりました。朝ドラが放送時間1日15分で好評なのに対し、1時間の連続ドラマはもう一つ。Youtubeなど動画がよく見られる現代は短い方がいいんじゃないか?という試みのようです。ただ見ていて、正直食い足りないと思うことが多いですね。

これからの土曜ドラマ、10月20,27日の前後編で北川景子主演『フェイクニュース』は49分x2。来年1月から放送の森絵都原作、高橋一生永作博美みかづき』は学習塾経営三代の物語で出版されたときから朝ドラにしたらおもしろくなりそうなテーマだと思い、また高橋一生も「朝ドラで再ドラマ化希望」といっているぐらいのボリューム。全5話と発表されていますが、放送時間は不明。一部を切り出してドラマにするとして一話28分ではきつそうで、これも長くなるんじゃないでしょうか。